大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和43年(わ)2335号 判決 1969年2月28日

本店所在地

大阪市大淀区南浜二丁目三二番地

名称

アカシヤ繊維工業株式会社

代表者氏名

明石清治

本籍

兵庫県津名郡五色町都志三八七番地の二

住居

大阪府豊中市大字内田九八番地

会社役員

明石清治

大正八年六月三〇日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官飲田譲出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人アカシヤ繊維工業株式会社を罰金三〇〇万円に、被告人明石清治を懲役五月に処する。

被告人明石清治に対し、本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人アカシヤ繊維工業株式会社(以下「被告会社」という)は、大阪市大淀区南浜二丁目三二番地に本店を置き、繊維製品の製造、販売業を営むもの、被告人明石清治は、被告会社の代表取締役として、その業務を統括しているものであるが、被告人明石清治は、被告会社の業務に関し、法人税ま免れようと企て、

第一、 被告会社の昭和三九年六月一日から同四〇年五月三一日までの事業年度において、その所得金額が二一五〇万四九九六円、これに対する法人税額が七七七万六四〇〇円であるのに、売上、受取利息、雑収入の収入の一部を除外し、これによつて得た資金を仮名預金口座に預入して秘匿する等の不正行為により、右所得金額中一六八七万三八〇五円を秘匿したうえ、同四〇年七月三〇日大阪市北区北扇町五六番地淀川税務署において、同署長に対し右事業年度分の所得金額が四六三万一一九一円、これに対する法人税額が一六一万五六四〇円である旨過少に偽つた法人税確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度分の法人税六一六万七〇〇円を免れ、

第二被告会社の同四〇年六月一日から同四一年五月三一日までの事業年度において、その所得金額が二七八四万六八二三円、これに対する法人税額が一〇一二万三〇〇〇円であるのに、売上、受取利息、雑収入の収入の一部除外、架空仕入の計上をなし、これによつて得た資金を仮名預金口座に預入して秘匿する等の不正行為により右所得金額中二一六〇万五七七六円を秘匿したうえ、同四一年八月一日前記淀川税務署において、同署長に対し右事業年度の所得金額が六二四万一〇四七円、これに対する法人税額が二一二万九一七〇円である旨過少に偽つた法人税確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度分の法人税七九九万三八〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示の各事実につき

一、被告会社の株式会社登記簿謄本

一、大蔵事務官作成の被告会社が昭和四〇年七月三〇日申告した法人税申告書にかかる証明書(判示第一の事実に対する関係に限る。)

一、大蔵事務官作成の被告会社が同四一年八月一日申告した法人税申告書にかかる証明書(判示第二の事実に対する関係に限る。)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する各供述調書(合計三通)

一、収税官吏の被告人に対する各質問てん末書(合計五通)

一、被告人作成の大蔵事務官あて各供述書(合計四通)

一、明石貴美作成の大蔵事務官あて各供述書(合計四通)

一、明石貴美の検察官に対する各供述調書(合計二通)

一、収税官吏の作成の次の者らに対する各質問てん末書

岡田譲(二通) 西村幸男 西村芳重

一、岡田譲の検察官に対する供述調書

一、岡田譲作成の大蔵事務官あて供述書

一、大蔵事務官小森康有作成の同四二年一一月二九日付「調査書」と題する書面

一、押収の次の各帳簿

元帳三冊(昭和四三年押第七三五号の1)経費明細帳二冊(同号の2)

売上帳一冊(同号の3・4)

仕入帳一冊(同号の5)金銭出納帳八冊(同号の6.8.9.13)

大学ノート一冊(同号の7)売上帳三綴(同号の10ないし12)

売上日記帳一冊(同号の14)

(法令の適用)

被告会社関係

判示の各事実につき、それぞれ法人税法第一五九条第一項、第一六四条第一項

(併合罪の処理)刑法第四五条前段、第四八条第二項「被告人明石清治関係」

判示の各事実につき それぞれ法人税第一五九条第一項(懲役刑選択)

(併合罪の処理)刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(判示第二の罪の刑に法定の加重)

(刑の執行猶予)同法第二五条第一項

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 井上清)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例